「人はなぜ舞うのだ?」1374年、南朝と北朝の争いが続く不安定な時代。猿楽を舞う観世座の子として生まれた少年鬼夜叉。鬼夜叉は舞の存在意義を見出せず、やる気のない日々を過ごしていた。そんなある日、納屋で舞う白拍子の舞を見て鬼夜叉は人生で初めて『よい』と感じる。
『よい』に魅せられた鬼夜叉は、自分自身もそんなふうに舞えるようになりたいと友人のコガネ、石也と共に白拍子の元へ通うようになる。彼女との出会いをきっかけに鬼夜叉の舞は変わっていくが、変わったのは鬼夜叉の舞だけではなかった。
観世座は新熊野六月会で舞を披露することとなる。将軍も観にくる、一世一代の大舞台。そんな舞台に鬼夜叉も立つことが決まるが、今まで感じたことのない大きなプレッシャーで思うように身体が動かない。それを小鼓方見習いの十二五郎はよく思っていなかった。
新熊野水無月会本番。鬼夜叉は初めての大舞台で父、観阿弥の翁の舞を目の当たりにする。公演後、将軍の謁見が許された鬼夜叉たちだったが初めて姿をみた将軍義満は鬼夜叉にとって意外な人物だった。
鬼夜叉は石也と共に観世座をあとにし、三条坊門御所で暮らしていた。三条坊門御所には鬼夜叉たちより先に増次郎率いる田楽新座がおり、鬼夜叉たちは目の敵にされている。田楽新座の舞にも興味津々な鬼夜叉は増次郎を高く評価し協力し合いたいと思っているが……。
増次郎との舞競べ再戦が決まった鬼夜叉。しかし敗北の傷は癒えず、「もう舞いたくない」と思うまで追い込まれていた。そんな時、鬼夜叉はとある懐かしい人物と再会することになる。
徳さんが湯起請にかけられる。それはすなわち、罪人として処されることを意味していた。鬼夜叉とコガネはそれぞれに徳さんを助けようと奮闘するが……。